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■『戦旗』1676号(3月20日)4面 沖縄の米兵による性暴力事件を許さず 女性解放運動を闘おう 首都圏地方委員会 相次ぐ米兵による性暴力事件 ここに一つの新聞記事がある。二〇二四年一二月二三日付沖縄タイムス「奪われ続ける尊厳と命」……一九四五年から二〇二四年末までの八〇年間に起きた、沖縄の米兵・米軍属による性暴力事件一覧だ。 一九四五年米兵数人が集落から女性二人を拉致。海岸で強姦し放置する。 米海兵隊二人が女性三人を強姦。このうち一人は子どもを出産するが、夫に殺される。 一九五五年嘉手納高射砲部隊所属の米兵が六歳女児を拉致し強姦。女児は腹部圧迫などで窒息死。 一九四八年帰宅途中の高校生男女三人が、米軍トラックに乗車。強姦されそうになって飛び降り死亡。 一九四九年米兵がよく面倒を見ていた生後九カ月の女児を強姦。女児は陰部裂傷を負う。 一九五五年米兵が一四歳女性を強姦 二〇〇八年陸軍所属の米兵が、ホテルで二二歳のフィリピン人女性を強姦。女性は出血多量で治療を受ける。 二〇一六年五月一九日元海兵隊所属で米軍属の男が、わいせつ目的で二〇歳女性を連れ去って殺害、遺体を遺棄した疑いで逮捕される。 二〇二三年一二月二四日嘉手納基地所属の米空軍兵長が一六歳未満の少女を誘拐し自宅で強姦した 小さな文字でびっしりと紙面を埋め尽くす事件の数々。ひとつひとつの光景、女性たちの叫び声を想像し、怒りが込み上げてくる。一〇〇〇件にも及ぶこれら被害は、公になったものだけであり、氷山の一角。その背景には声に出せなかった女性たち男性たち被害者がいることも忘れてはいけない。そしてこれだけ多くの米兵による性暴力被害を沖縄に押しつけ続けてきたことも、これら米兵による蛮行は、かつて日本兵がアジア諸国の女性に対して行ってきたことであることも忘れてはいけない。 「戦争と性暴力」「軍隊と性暴力」を許さず闘おう 二〇二三年一二月二四日に米兵による少女誘拐暴行事件が発生。その裁判では被害少女に対して大きな苦痛と二次被害を与えるような証人尋問が行われた。那覇地裁は被害者の証言を全面的に認めたものの、判決は加害米兵に対したったの懲役五年。しかも加害米兵は裁判中に被害者の証言を否定し無罪を主張し続け、即日控訴したのだ。許しがたいことに、この事件は日本政府によって半年間も隠蔽され、その間に防げたはずの別の性暴力事件が少なくとも三件起きていた。更には事件が発覚し怒りに燃えるなかで、昨年一一月に新たな性暴力事件が起きていたのだ。沖縄の女性は、日米両政府によって踏みにじられ続けている。 在沖米空軍トップは被害者への謝罪をするどころか、「(事件は)日米同盟に尽くす多くの米軍人を反映するものではない」(米軍全体が悪いわけじゃない)と述べた。いや、米軍全体が悪いのだ。圧倒的な暴力装置である米軍隊に支配される沖縄で、女性や子どもが犠牲になり、加害者は「日米地位協定」によって守られる、その構造を良しとしてきた日米同盟が悪いのだ。事件から一年後の二〇二四年一二月二二日、少女暴行事件に抗議する沖縄県民集会に呼応して東京・新宿駅頭で行われた抗議集会では、沖縄出身の女性が「あなたたちが『防衛』という言葉を口にするとき、そのことを考えてください」と街ゆく人たちに叫ぶように訴えた。私たちは米兵による性暴力事件を決して許さず、米軍の沖縄・アジアからの総撤収を求めるとともに、あらゆる「戦争と性暴力」「軍隊と性暴力」を許さず闘いつづける。 国連女性差別撤廃委員会への拠出停止に抗議する 日本政府は一月二九日、毎年拠出している任意拠出金についてその使途から女性差別撤廃委員会を除外することを決め、国連側に伝えたことを明らかにした。委員会への拠出停止は、国際社会に対して日本が女性差別撤廃および人権の尊重に後ろ向きであるという姿勢を示すものであり、また委員会から様々な分野で受けた女性の人権に関する勧告を無視し、責務を果たさないということを表明するものである。「男系男子に皇位継承を限る皇室典範の改正」が勧告されたことへの対抗措置だというが、ジェンダー・ギャップ指数ランキング一一八位(二〇二四年)、圧倒的最下位の日本が恥を上塗りする行為だ。しかも二月一〇日の衆院予算委で自民党の鈴木隼人議員が「条約に加わることと国体(天皇制)を守ることのどちらが大事なのか。条約の破棄も含めて、踏み込んだ対応が必要だ」と岩屋外相に詰め寄っている。そもそもあらゆる差別の元凶である天皇制は廃棄されるべきである。「皇位継承」を取り沙汰して、あらゆる差別の撤廃に背を向ける日本政府を許すことはできない。 日本政府は勧告に従い差別解消を行え 昨年一〇月の国連女性差別撤廃委員会による勧告には以下のようなことが含まれている。 夫妻に同じ氏を使用することを求め、事実上、女性に夫の氏をしばしば強いることになる民法第七五〇条を改正する措置がとられていないこと。「非嫡出子」に関する差別的規定を撤廃し、その母子が保護されるべきこと。 福島の被災者である女性及び女児が、基本的権利、差別からの自由、社会サービス、医療(母体保護)、教育、意思決定システム、雇用を含む機会への平等なアクセスを享受できるようにするための暫定的特別措置をとっていないこと。 ジェンダーに関する家父長制的固定観念が根強く残っており、包括的かつ持続可能な措置を実施すべきこと。 沖縄の軍事基地にいる米軍人による女性に対するジェンダーに基づく暴力。沖縄における性暴力その他の紛争関連のジェンダーに基づく暴力の被害女性・女児に関し、予防・捜査・加害者の訴追・処罰・被害者への補償のための適当な措置をとるべきこと。 経済的困難や家庭の不安定さのために女性及び女児が強いられている性的搾取と人身取引を予防する措置をとるべきこと。 「慰安婦」に関して「戦争犯罪及び人道に対する罪に時効はない」という国際法上の原則を受け入れ、被害者/生存者の権利に取り組むべきこと。 政治および公的活動において、意思決定の地位に占める女性、マイノリティ女性の割合が依然として低いこと。 教育に関して、上級職の女性教員の割合が低く、低賃金の非常勤講師などに女性が集中していること。性に関する指導において不当な検閲が行われていること。「慰安婦」への言及が教科書から削除されていること。 雇用に関して、男女間の賃金格差が依然大きいままであること。女性の家族的役割が年金受給に影響を与えているとともに、妊娠出産に関連した差別の報告が絶えないこと。先住民女性・部落女性・障害のある女性・移民女性・セクシャルマイノリティ女性が職場での差別を経験していること。 国連女性差別撤廃委員会が、在沖米軍による性暴力に言及したのは初めてのことだ。沖縄の女性たちがスイス・ジュネーブに渡り、日常的にさらされてきた米軍による性暴力について直接訴えたのだ。審査では、女性差別解消に消極的な日本政府に対して厳しい質問が相次ぎ、中でも「国内行動計画に米軍による性暴力についての記述がないことを懸念する声が市民から挙がっている」との指摘がされた。これに対し日本政府は「米軍の性暴力について記述がないのは、日米安保条約のもとで既に対応する枠組みがあるからだ」と回答した。不平等な日米地位協定と、性暴力に関する日本の法制度によって救済されない人達が多くいるにもかかわらず、条約で対応できるとする政府の態度はあまりにも酷い。また、同審査では米軍基地から流出し沖縄の地を汚染しているPFASの問題についても、妊産婦に影響し、女性の権利侵害につながるとして触れられた。 日本政府は勧告に従い、女性が強いられている様々な差別の解消にむけて真摯に取り組むべきである。とりわけ沖縄の女性たちの声を踏みにじる行為は、断じて許されない。ジェンダー・ギャップ指数ランキング一一八位に対して、日本の世界軍事力ランキングは七位にまで上昇しているではないか。過去最大の防衛費がわれわれの生活と権利をさらに圧迫していくことを許さず、戦争動員に抗する闘いに起ち上がろう。 |
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